訪問看護という介護サービスについてご存じですか?

今回は“訪問看護”という介護サービスについてお話いたします。

訪問看護とは

病気や障がいがあっても、住み慣れた自宅で生活していきたいというご利用者宅へ看護職員が訪問し、医療的なケアや身体的なケアを行うサービスのことです。

在宅医療の1つで、主治医と連携し必要な医療サービスを受けることができます。その中でも精神的なケアが必要な方に対応している訪問看護事業所がありますので事例をご紹介します。

事例紹介

ご利用者

Ⅿさん 女性 73歳 要介護1 夫と二人暮らし

当時のMさんは自室を閉め切り、日中でもカーテンを引いて、閉じこもる生活を送っていました。
お金やハンコなど自分でしまった場所を忘れてしまい、家族への不信感を口にすることがあり、どうしたらよいかと相談がありました。部屋から出てこようとせず、誰とも会いたくないという様子があり、認知症状もみられました。病院に行くことが難しく、服薬もできない状況が続いていました。

最初は地域包括支援センターかわみなみが支援に関わっていたのですが、ご家族より「Mには外に出て気分転換してほしい、また、人が集まるところで楽しい時間を過ごしてほしい」との希望があり、ライフケア黒森居宅介護支援事業所で担当することになりました。

ライフケア黒森居宅介護支援事業所で話し合った結果、当時のMさんには、薬の管理と服薬、体調管理、精神的なケアが必要と考え、この条件に合う支援として訪問看護を選択しました。週1回の訪問でケアプランを作成し、ご家族の協力のもと、できる範囲で体調の安定を目指すこととしました。

訪問看護事業所が関わるようになり…

訪問看護事業所が関わり始めた当初の1か月間は、Mさんが「今日は調子が悪い」と言って部屋から出てきてくださることが少なかったようです。しかし、その後、訪問回数を週2回に増やして信頼関係を築いていく中で、少しずつ良い変化が見られるようになりました。看護職員からは「今日は部屋から出て話をしてくれた」「今日は一緒に外に出た」といった報告が届くようになっています。また、薬の管理・服用の声がけを行うことで、順調に服用ができるようになりました。

その後、信頼関係が築かれるにつれ、看護職員とMさんが一緒に散歩に行く機会が増えてきました。そこで、ライフケア黒森居宅介護支援事業所から担当の看護職員に次のようなお願いをしました。

「次回、散歩に出かける機会がありましたら、近くの通所介護事業所まで一緒に歩いて行っていただけますか?」

このお願いをしたのは、将来的に家族や看護職員以外の方とも交流の機会を持ち、通所介護の利用に繋がることを目指しているからです。※通所介護とはデイサービスの正式名称です。

2か月後には看護職員とMさんが、近くの通所介護事業所まで散歩に出かけ、一緒に見学することができたとの報告がありました。その後も1回、2回と見学ができるようになり、中に入ってお茶を飲むこともできました。

今後もあせらず、ゆっくりと支援を続け、将来的に通所介護のサービス利用に繋がることを目指していきます。ご家族、訪問看護事業所、通所介護事業所と協力し、他のご利用者と一緒に楽しい時間を過ごせるよう、目標の実現に向けていきたいと思っています。

精神的なケアや医療的なケアが必要な方に自宅でサービスを提供できるのが訪問看護事業所です。
必要な方は居宅介護支援事業所にご相談ください。