心地よい生活を送るために ~ 認知症ケアの取り組み ~

グループホームでは、ご利用者に「心地よい感覚」をもって生活していただけるよう、認知症ケアとして様々な取り組みを実施しています。今回はその一部をご紹介させていただきたいと思います。

水分飲水量の取り組み

高齢者は、筋肉量の低下により体内に蓄えられる水分量が低下します。体内の水分量が低下すると、脱水症や熱中症などの体調不良が起こりやすくなります。

体内の水分が1~2%失われると意識障害が起こり、2~3%で発熱、5%で運動機能が低下すると言われております。このように体内の水分量は身体状況に大いに関係しています。

グループホームでは、水分補給しやすいような環境づくりを行っており、こまめな水分補給の促しだけではなく、週に2回「お楽しみ喫茶」を開催しています。1日1500㏄を目標とし、飲み物を提供しています。

水分飲水量の取り組みを継続的に実施してきた結果、ご利用者の日中の活動量の増加、歩行動作の向上、微熱傾向の改善などの効果が現れ、今年の夏は特に暑かったですが脱水症や熱中症などで体調を崩された方はおりませんでした。

お楽しみ喫茶のメニューから好きな飲み物を選んでいます

「みんなで飲むと美味しいの~」

ベッドセンサーバイタルビーツ

ベッドセンサーバイタルビーツとは、ベッドマットレスの下に設置するだけでご利用者の睡眠状態の把握、心拍や呼吸の情報から眠りの深さを知ることができる機器です。

令和5年1月より導入し、ご利用者お一人おひとりの睡眠状況の統計をとり、睡眠の質の向上に繋がるように支援しています。 ※他の機能もありますが、今回は睡眠状況の把握について取り上げてみました。

事例

A様はもともとベッドに入るのが遅い方で、他のご利用者と同じような時間帯で就寝を促しても、なかなか寝付くことができませんでした。

ベッドセンサーバイタルビーツを導入後、しばらくデータ取りをした結果、実際に眠りにつく時間に着目して、月の平均値の入眠時間を割り出し、その時間帯に合わせて就寝を促した結果、途中で起きることも少なくなり、朝まで熟睡される日も多くなりました。

① 睡眠状況、心拍、呼吸の確認画面です

② 睡眠状況の統計をとる前

③ 睡眠状況の統計をとった後

睡眠グラフを比較してみると、睡眠状況の統計をとる前は夜間に何度も目が覚めてしまい、入眠している時間が少なく、睡眠効率が80%前半~90%後半とバラつきが見られていますが、統計をとった後はまとまった睡眠がとれており、睡眠効率が90%以上に増加しています。

まとまった睡眠がとれるようになってからは日中の活動量が増え、生活リズムが整ったことで趣味の読書を楽しむ時間が増えました。

学習療法 余暇活動 機能訓練

その他にも、日常にメリハリがつくように認知機能の低下を防ぐ「学習療法」、余暇活動として家庭菜園や個々の趣味に取り組んでいます。

学習療法 コマ並べ中

家庭菜園 プランターへ花植え中

余暇活動 趣味の塗り絵

機能訓練 杖を使って体幹を鍛える運動

また、身体機能の維持向上の為の「機能訓練」は、外部より理学療法士をお招きして、ご利用者個々の身体状況に合ったメニューを考えていただき、状態を確認した後に、日々の生活の中で、職員がそのメニュー内容に沿って機能訓練を行っています。

水分飲水量の取り組みや機能訓練を日々行うことによって、毎日のお食事がおいしく感じることにより、食事量も増え、足取りが軽くなり元気に散歩できたり、学習療法を定期的に行うことで、認知症の進行を緩やかにすることに繋がりました。

睡眠日誌を分析することで、ご利用者個々の最適な睡眠をお助けすることにもなりました。

この活動を継続して行うことで、ご利用者の「その人らしさ」を大切に笑顔で生活できるように私たちスタッフ一同、日々取り組んでおります。