ここ2年部屋に閉じこもったまま、物忘れも多く、困ってしまって…とご家族からのご相談

ご利用者

80代 女性のAさん (現在、ご家族と3人暮らし)

1.相談

ご家族と3人暮らしをしている80代女性 A さんの相談ケースです。

Aさんは5年ほど前から物忘れがみられていました。以前までは地域の行事や体操などの集まりにも参加し、社交的な一面もあった方でしたが、ここ2年くらいはどこにも出ようとせず、自宅の自室に閉じこもりの生活が続いている状況にありました。

ご家族は物忘れで生活に困らないようにと、自宅の固定電話の操作方法を分かりやすく表示し、できること、できないことを見極めながら生活環境を整え、同居生活を続けている状況ですが、最近また物忘れの症状が多く出るようになっておりました。

生活に関しては、お風呂に入ることを嫌がり、長期間 入浴していない状態が続いているとのことでした。 一度専門医へ受診させようとご家族が試みても、 頑なに拒まれ、介護サービスの利用も叶わず、 ご家族もどうすればいいかわからないと地域包括支援センターに相談がありました。

2.訪問

地域包括支援センターでご自宅へ訪問し、Aさんと面会させていただきました。

A さんは明るく、こちら側の質問にも応じていただきましたが、ご家族からのお話しを再度伺うと、日ごろの物忘れはもちろん、食事を食べたかどうかを忘れる、声がけにカッとなりやすいなどの症状があるとのことで、ご家族の方の苦慮が伺えました。

3.今後のサポートについて検討

 Aさんから直接お話を伺うと、同じ話を何回と繰り返したり、突然声を荒げたりする場面もあり、医療機関への受診が必要であると思われましたが、ご本人は「お医者さんには行かなくていい」とお話を聞き入れてくれませんでした。また、ご家族からお風呂に入らない日が続いているといったお話もあり、以前よりも介護の負担が大きくなっているため、支援にむけて酒田市高齢者支援課にも相談し、※認知症初期集中支援事業を利用する運びとなりました。

※ 認知症初期集中事業とは、複数の専門職が、認知症が疑われている人や認知症の人及びそのご家族を訪問し、初期の支援を包括的集中的に行い、自立生活のサポートを行うチームのことをいいます。

酒田市の高齢者支援課をはじめ、専門医療機関の精神保健福祉士、デイサービスの相談員など、それぞれの専門分野の職員を招き、Aさんとご家族が今後どうすれば安心して過ごしていただけるのか、話し合いを行いました。

認知症の症状改善にむけ、医療機関からはAさんの病状確認や通院方法についての支援を検討していただき、また、入浴に向けた支援を早期に利用できるようデイサービス事業所と話し合いを行いました。同時に地域包括支援センターでは、ご家族に向け認知症という病気の理解と接し方についてお伝えしていきました。

4.サービス利用

デイサービスの初回利用時、Aさんは最初否定的な様子でしたが馴染みのご友人と会うことができ、同年代の方との交流を楽しまれるようになったことで、不安げな様子も日に日に減るようになりました。
外出することに億劫になっていたAさんでしたが、社会交流による外部からの刺激が良い刺激となり、医療機関の受診もできて、専門医からの適切な治療も受けられるようになりました。

ご家族からは「誰に相談して良いか分からなくて不安でしたが、地域包括支援センターから来てもらい様々な人達から支援してもらった結果、今は母親が負担にならないような関わり方も少しずつできるようになりました。」とお言葉をいただきました。

支援の振り返り

ご本人の状況やご家族の思いを、行政、医療、福祉の各専門職で共有し、それぞれの専門分野で話し合えたことで、早期に支援につなげることが出来たケースでした。

ご家族や地域の方々で、ご心配なことがありましたら、お近くの地域包括支援センターにご相談ください。