「最期は住み慣れた自宅で看取りたい」とご家族からのご相談

住み慣れた自宅で最期を迎えることができた事例ケース
母子水入らずで過ごせることに大変満足されている様子でした。

要介護者

80代 女性 一人暮らし 持病あり

旦那様が他界して以降一人暮らしでしたが、持病があり特別養護老人ホームに一度は入所をされていました。

その後、誤嚥性肺炎を発症し入院されたことがきっかけで口からの食事を摂るが難しくなった為、言語聴覚士による嚥下リハビリも実施してなんとか口から食事を摂れるようにと試みましたが、結果として食事を飲み込むことができるようになるまでの回復はできませんでした。

水分を摂ることも困難なことから点滴を行うのみで経過し、病院からは看取りの時期に入っているとの説明がご家族へなされました。

一人娘である長女様は当初なかなか受け入れることができず、少しでも永く生きてほしいという思いがありました。

また、新型コロナウィルス感染拡大防止対策から、病院では厳しい面会制限が継続されており、自由に面会できない状況を受けて、何とか自宅に連れて帰り、家族と一緒の時間を過ごせる喜びを思いっきり味あわせてあげたいとの意向がありました。

そこで病院の医療相談室から当事業所へ相談があり、体調が安定しているうちに退院して自宅へ戻り、ご家族のもとで最期の時間を過ごせるように支援を行ったケースです。

ご自宅での生活を支える介護チーム

ケアマネジャーは自宅での療養へ向けて、長女様と面談を行い退院後の生活に対する意向や、不安に思っていることなどを伺った上で、少しでも安心して退院の日を迎えられるように関係機関への調整を行いました。

訪問診療をしていただける医師との連絡調整をはじめ、看護師が自宅へ訪問して体調管理や点滴等の医療処置を行う訪問看護、ヘルパーによるおむつ交換や身の回りの介護を行う訪問介護、ご本人が安楽に過ごせるように介護用ベッドレンタルの導入を提案させていただくことで、ご本人だけでなく介護をする長女様の負担軽減も視野に入れながら、不安なくご自宅での介護ができるように準備を行いました。

また、退院して自宅に戻られる際には、ご家族とケアマネジャーの他に訪問看護、訪問介護、福祉用品の各サービス事業所も参集しての会議を開催し、ご自宅での生活を支える介護チームとしての支援の方向性、看護、介護方法について確認を行いました。

更に、往診していただける主治医の先生からも参加をしていただき、医療の立場からみた現在のご本人の状況などを説明していただきました。

やはり看取りの時期だということで、長女様は仕事を一時的に休まれて実家に泊まり込み、住み慣れたご自宅で最期を看取るために母親と二人の生活が始まりました。

住み慣れたご自宅での最期

痰吸引やおむつ交換。体位変換、皮膚状態の観察など毎日訪問する訪問看護、訪問介護の担当者へ不安なことがあれば相談し助言を受け、時には指導をしてもらいながら長女様は熱心に介護をされました。

ある日ケアマネジャーが訪問すると

「今日は一緒に部屋で休みながら、母の傍に一緒に横になって昔の話をした。あの時はこうだったね、楽しかったねとたくさんの思い出話をした。」

と、とても嬉しそうに話されて母子水入らずで過ごせることに大変満足されている様子でした。

その翌日、長女様に看取られながらゆっくりと息を引き取られました。

最期は病院で亡くなる方が多いのですが、なんとか自宅で一緒に過ごさせたいという長女様の希望通り、住み慣れた自宅で最期を迎えることができた事例でした。

ご本人やご家族の想いに寄り添う支援を

医学の進歩や、在宅診療、在宅医療サービスの充足と併せて、新型コロナウィルス感染症の影響も相まって、最期を自宅で看取りたいと希望されるご家族からの相談も増えております。

当法人では現在8名のケアマネジャーが居宅介護支援事業所に常駐しております。

ご本人やご家族の想いに寄り添いながら、介護を要する方の日常生活に対する支援を行う以外に、最期まで住み慣れた自宅での生活を続けながら、在宅でのお看取りを希望される方についても、医療と介護の連携を密に図りながら不安なく過ごせるように支援をさせていただいております。