快適に自分らしく過ごすための第一歩は排泄ケアから
当法人が開設した2000年は介護保険法が施行された年でした。
ライフケア黒森では、高齢者福祉の集団ケアから個別ケアに視点を置き「食事」「入浴」「排泄」の3大介護の中で、まず初めに、個人の排泄パターンに合わせた「個別排泄ケア」への取り組みを行いました。
その中で、当法人では平成15年6月にTENA(テーナ)と出会い、スウェーデン式個別排泄ケアを導入することになりました。
TENA(テーナ)では、理念として
「ご利用者の尊厳を守り、安全で快適な生活の提供」
を掲げており、生活に視点を置いた「個別排泄ケア」を目指していた法人の考えと合致したことから、TENA(テーナ)と連携し、オムツ外しや排便サポートやスキントラブルの改善について取り組むことになりました。
<TENA(テーナ)製品を使用することで得る効果>
そこで、ライフケア黒森では、多職種とTENAアドバイザーより構成させる「排泄チーム」を設置し、課題解決に向けた話し合いや正しい製品選択、研修の企画等を行っています。ご利用者の思いを大切に、尊厳や羞恥心に配慮しながら、より快適に自分らしく過ごしていただけるよう、様々な視点からアプローチしています。
ここで、排せつ支援における事例を一つご紹介します。
自分のことが自分でできるって楽しい!熱心なS様の事例
自分のことが自分でできるって
楽しい! 熱心なS様の事例
S様は、これまでトイレに行きパットを交換する際はナースコールで職員を呼ばれていましたが、ご本人からは「できれば自分でパットを交換したい」との意向が聞かれていました。
そこで、排泄の状態が改善されるとの期待を込めて、専門職の意見をもとに、あらゆる視点からアプローチすることになりました。
支援計画では、「自分でパットを交換できるようになることで、羞恥心がなくなり前向きな気持ちになれる」という目標を立てました。
<支援方法>
①自分でパットを準備・交換できるように、ご本人と担当職員が相談しながら置き場所を決める
②交換後のパットを自分で破棄できるようにトイレ内にゴミ箱を設置
③排泄動作が安定して行えるように、機能訓練指導員による週1回の機能訓練と居室での自主練習の実施
排せつ支援計画に基づいた支援の結果、毎日の軽体操や機能訓練、自主練習を行うことで、体幹が強くなり、立ち上がりや移乗などの動作が安定しました。
動きが安定したことにより、自分でパットをあてる・破棄する・パットに折り目をつける、といった排泄における一連の動作ができるようになったことで、職員の手を借りずに身の回りのことができるようになりました。
自分に対する自信を取り戻されたことで、「入れ歯を作ってみたいな~」「昔みたいにおしゃれをしたいな~」といった希望を教えていただけるようになり、ご本人からも「自分のことが自分で出来るようになって嬉しい。楽しく過ごせてありがたい。」というお話が聞かれたことが、取り組みにおける何よりの成果となりました。
また、介護に関わる職員を対象に、毎年「正しく・素早く・丁寧に」オムツをあてられるよう技術向上を目指したTENAマイスター資格取得及び技術向上研修を実施しています。研修後は、介護職員の技術が安定し、オムツの漏れが軽減することで、ご利用者はより快適に過ごしていただけるようなりました。
最後に、
わたし達ができることは、ご利用者の排泄パターンを把握し、正しくオムツをあてるのはもちろんのこと、ご利用者が自分らしく生活するためには何をお手伝いすればよいか、もっと引き出せる力はないか等を見出しながら、一緒に可能性を探していくことだと思います。
排泄チームの活動はそのための一つの手段であり、ご利用者の排泄の状態が改善されることで心身ともに快適な生活を送れるよう、尊厳や羞恥心に配慮しながら、一番近くで応援できる多職種からなるチームでありたいと思います。
「排泄ケアは心のケアである」というTENA(テーナ)の考えのもと、排泄を通してご利用者が自分自身に期待できるよう、あらゆる面からのアプローチを継続することにより、ご利用者の人生がより豊かに、そして自信に満ちたものになるように心を込めて支援していきます。