今は体調も良くなり、母を自分で看たいという気持ちになりました…と次女様からのご相談
施設からご自宅へ
~みんなの絆~
要介護者
Aさん 108歳 女性 入所前は次女様と同居
入所の経緯
ご自宅で転倒し、こぶや青あざができることがあったとご家族からお話がありました。介護者の次女様が介護疲れで体調を崩され介護することが出来なくなり、ショートステイ利用から小規模特養へ施設入所となりました。
日常の生活
入所後は施設での生活にも慣れ、現在108歳を迎えられたAさんにとって、日々の生活がとても大切で今日も穏やかに、お元気で1日を過ごすことができて良かったという想いを職員も一緒に共有していました。
Aさんは、いつも入所ご利用者や職員の中心に居て、皆の心の支えのような存在でした。Aさんがそこにいるだけでその場が和み、穏やかな空気が流れました。
そして施設内行事にも、体調を見ながらできるだけ参加をしてくださいました。
行事の中でも、敬老会行事においては山形県と酒田市から長寿のお祝いの賀詞を受け、施設内で賀詞伝達式をいたしました。また、職員が最高齢Aさんの肖像画を描いてサプライズでお祝いをした最高の思い出があります。
入所して3年目を迎えた秋、
「今は体調も良くなり、自分で母を看たいという気持ちになりました」
と次女様から職員にお話が…
ご家族より
ご相談がありました
入所して3年目を迎えた秋、定期通院時に身元引受人次女様から職員へこんなお話がありました。
「ここ最近、母を家で看ようかと考え始めています。以前は自分も体調が優れず
母の入所を希望し施設でお世話になりましたが、今は自分の体調も良くなり、母を看たいという気持ちになりました。日々衰えていく母を見ると、心の中で何かが引っかかっていて、最期は私が看ようと思いました。」
上記のご相談を受け、当施設で検討させていただくことになりました。
サービス担当者会議で
検討しました
ご家族からご相談を受けて、施設でも専門職が集まり話し合いを重ねました。
その後、ご家族を交えてサービス担当者会議を開催し、身元引受人次女様だけでなく、孫様からも施設へお越しいただき、ご意向の確認とご自宅へ帰るにあたりいくつかの不安な点について話し合いをしました。
お話をお聞きする中で、次女様のご意向と母を想う強い気持ちに職員皆、感銘を受けました。
次女様は、以前看護師をされていた経験から不安な点については、おおむね解決することができました。
孫様のご意向は「祖母も大事ではあるが80歳を迎えた母の体調が心配です。しかし、母の気持ちは、祖母を施設へ入所させるときから分かっていました。本当は自分で看たいんだろうなぁ・・と。しかし体調を崩してしまい、やむを得ず入所へ踏み切ったんだろう。いつか、自分で祖母を看たいと言い出す日が来るんだろうと思っていました。なので反対はしません。むしろ応援したいと思います。」
とお孫さんのお話がありました。
結果、ご家族の希望日に退所することになりました。
結論としてご自宅へ帰られることとなりました
Aさんのご家族からご相談を受けてサービス担当者会議を開催し、ご家族の想いをお聞きし、ご家族の強い絆を感じました。私たちも全力で応援したいと思いました。
Aさんが今、何を望み、どんな生活がしたいのか、次女様の想いと重なった、この瞬間にご自宅へ帰る。
きっとご自宅での生活は、心地よい空気、何気ない日常、昔から変わらない風景、それがAさんと次女様お二人の「幸せや満足」に繋がるのだと感じています。
Aさんが退所するその日まで、私たちに何が出来るのかを担当職員はじめ、多職種職員みんなで話し合いを重ね準備を進めてきました。
そして、改めてAさんのお写真を見返すことで感じたことがあります。
ご利用者誰もが目に見える大きなもの、「行事やドライブ、外食」をしたいと望むのでなく、本当は目に見えない、日々の温かい空気、相手を想う気持ち(ちょっとした気遣い)笑顔なのかも・・・と。
Aさんが私たちにそのことを温かい眼差しで教えてくださいました。
私たちに沢山の思い出と学びをいただき、本当にありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。
その後、初雪降る清々しい穏やかな日に、Aさんは施設からご自宅へお帰りになりました。
Aさん、また笑顔で会いましょう。
担当職員からAさんへ
介護職として十数年経ちましたが、特養からご自宅に帰るご利用者の支援は初めてでした。
ご利用者と一緒に過ごした日々を考えると寂しさや戸惑いはありました。
Aさんが退所する当日は、他の職員から勤務を変わってもらい、その場に立ち会い、ご家族へ直接ご挨拶することができ、担当職員として最後の役割を果たすことができました。
最高齢Aさんを最高の形でお見送ることが出来たことに、感動と感謝の気持ちでいっぱいです。
今、少しだけの喪失感と沢山の達成感が私の心の中にあります。それは、真剣にAさんに寄り添ってきたからこそ感じる感情の部分だと思います。
この職場で介護の仕事をしていて本当に良かったと感じられた、私にとって忘れられない事例となりました。
これからもこの仲間と支え合い頑張っていきたいと思います。Aさん本当にありがとうございました。