専任の機能訓練指導員を配置いたしました

今年度より、特別養護老人ホームに専任の機能訓練指導員を配置いたしました。

加齢とともに身体機能や認知機能の低下がみられる中で、今できることが長く続けられるようにと、機能訓練指導員を中心に、職員一丸となって生活の中でのリハビリに取り組んでいます。

その人らしい生活の幅を広げるために

機能訓練といっても身体機能の向上だけを目指すのではありません。

日常の生活のなかで「できること」を探り、「できる」という体験や「心地良い」という感覚を持っていただき、いつまでもその人らしく、生活の幅を広げていくことを目的としています。

例えば、「いつまでも身の回りのことは自分でしたい」という思いがある左半身に軽度麻痺がみられる女性ご利用者に対して、身体の傾きや感覚の鈍麻を改善するような内容の機能訓練を実施しました。

継続的に実施したところ、徐々に体感がしっかりし、動きが安定し始めました。

すると、これまでは見守りが必要だったトイレでの排泄が自立し、人の手を借りなくても自分でできるという自信を取り戻されました。

自分の身体の変化を実感したことで、「自分で出来ることをもっと増やしたい」「入れ歯を作りたい」「おしゃれもしたい」といった希望が次々と出てきては、職員に教えてくれるようになりました。

丈夫だった頃を思い出し、自分で自分の可能性に期待できることが、何よりの活力となっているようです。

そんなご利用者の想いに寄り添いながら、一緒に可能性を追求できるような機能訓練が行えるよう日々研鑽を積んでいます。

専門的な活動でアプローチ

また、認知機能に対しては、様々な視点からご利用者の皆様へ、アプローチを図っています。

職員も研修を受けて資格を取り、当法人で取り組んでいる学習療法や、タクティールケアといった専門的な活動を行っています。

これらを実施することで認知症を予防し、気持ちのリラックスを感じていただき、前向きな気持ちや意欲が向上されるように努めています。

そしてご利用者自身が、自分の気持ちや意見を伝えられることを大切にしています。

身体状況が重度の方には、ベッドの上での安楽な体位の保持と、自力では除圧が困難な方へ褥瘡予防のために、ポジショニングという機能訓練を行っています。

筋肉の緊張を緩和し、拘縮予防にも繋がっています。

また、長時間座った姿勢を続ける方の心身機能や生活状況を考慮し、良好な座位姿勢が維持できるようにシーティングにも取り組んでいます。

正しい姿勢を保つことで、誤嚥や息苦しさ、廃用症候群の予防にも繋がっています。

「軽体操」や「嚥下体操」

ご利用者一人ひとりの思いや身体状況は全く違いますが、同年代の方々が集う場所での「軽体操」や「嚥下体操」にも力を入れています。

毎日同じ時間に実施することで、互いに声かけ合い、励まし合い、日課として楽しみにしておられる方も増えています。

「一緒やるか」「上手なったごど」と、利用者同士の関係構築にも繋がっています。

特に嚥下体操では昔の懐かしい歌を歌う機会もあり、普段あまり発語をされないような方も、声を出して歌われる姿も見られます。

昔懐かしい歌は、歌詞を見なくてもお手のもので、すらすらと歌われます。

私たち職員にとっても喜ばしい姿です。

 

まだまだ課題はありますが、ご利用者一人ひとりが前向きになるような姿を感じられることが増えています。

ご利用者の皆さまがいつまでも元気で、生き生きと生活が送られるように、そして「ライフケア黒森で生活できてよかった」と思っていただけるよう支援していきたいと思います。