施設生活に慣れていけるか不安…と娘さんからのご相談

人のお世話を受けるのが嫌な母親の施設での生活を心配して相談されたケース
穏やかな表情の母に驚きと喜びの声が…

要介護者

80代 女性 一人暮らし

80代女性の方は、これまで在宅での介護サービスを利用しながら自宅でお一人暮らしをしていましたが、物忘れが増え、市内に嫁いだ娘さまだけの支援では大変になっていました。

サービスの利用にも抵抗があり、ご本人の頑固な性格もあり娘さんも苦労されたとお話をいただきました。

そんな中、自宅で転倒し骨折してしまいました。

入院治療を経て、その後ご自宅での生活は難しい状況となりました。

また娘さまの体調不良も重なり、今後の方向性が見えない中で、リハビリを目的に転院をして様子を見ることになりました。

ご家族としては長期の入院は難しいことは理解していたので、ご本人にあった施設入所を考えるようになりました。

入所希望、しかしご家族の不安も

そこで当施設へ入所相談に来ていただきました。

自宅での介護を開始した際に、当法人内にある地域包括支援センターかわみなみが関わっていたことと、自宅に近い施設ということもきっかけとなったとのことでした。

相談内容として、今までは、母が負担にならない程度のサービスを使って自宅での生活を続けていましたが、骨折と物忘れが進んだ状況となってしまい、施設入所を希望したいとのことでした。

施設入所をする上で、ご家族の不安は、母がとても頑固な性格であり、入院中も介護をすると手を払うなど介護を嫌がり、抵抗するような状況であるが、入所申込みをしても大丈夫であるかというものでした。

実際に入所が決まったときは、新型コロナウイルス感染予防対策を実施している時期であったため、母に面会出来ないことがとても不安であるとの話がありました。

それは、母の性格から、介護に抵抗して職員に迷惑をかけていないか、家族が面会に行って触れ合うことで、ほっとする気持ちや、施設生活にも慣れていけるのではないかとのお話をいただきました。

穏やかな表情になった母に驚きと喜び

入所後は徐々に言葉の数も増え、「ありがどの」「悪いね」など、職員に声をかけてくれることも多くなりました。

生活面ではほとんど介助が必要な状況ですが、ご家族が心配されていた職員の介護に対する抵抗はほとんどなくなりました。

食事のときも自分で手を添えることはほとんどなかったのですが、ある日コップの底に手を添える様子があり、職員も手伝いながら少しずつ自分でコップを傾けて飲む様子が見られました。

その様子をご家族にお伝えすると大変喜ばれていました。

その後、娘さまからは、定期的に面会に来ていただいており、ガラス越しではありますが、穏やかな表情と、電話を使ってお話もスムーズにできるようになった母を見て

「びっくりしました。こんなに良く変わるとは思っていませんでした。職員の皆さまのおかげです」

と驚きと喜びのお話も聞かれました。

少しでも不安をなくするために

私たちは、生活の中でご本人の話される言葉から、気持ちの理解に繋げられるように、職員間でご本人の様子を共有し、少しでも不安にならないように声がけを多く持つように意識し取り組んできたことが今回のケースに繋がったと感じています。

新型コロナウイルス感染予防対策でご利用者とご家族が直接お会いできないことで、ご心配や不安もあるかと思います。

施設では、担当職員からの近況をお伝えするお手紙の郵送やお電話、ガラス越しでの面会、ZOOMアプリを使ったオンラインでの面会などを行っています。

ご利用者の施設でのご様子などをお伝えし、ご本人やご家族の安心につなげていきたいと思います。