毎年行っていたお墓参り、今年も行きたいな…
「お盆だの。墓参り誰かしてくれてるかな・・・」
それは、A子さんとの何気ない会話からでした。
それまでは、毎年自宅の畑で育てた花を持って、近所にあるお寺まで老人車を押してお墓参りに行かれていたそうです。
前向きな気持ちになるために
「お墓参りに行こう。」
と職員の誘いに
「足も悪くなったし、花もないし。家族にお願いするからいいや。」
と、初めは遠慮がちの話しをされたA子さんでしたが、だんだんと
「天気良いばいいな。どうせ行くならお菓子も持って行く。」
と生活に意欲が見え、前向きな気持ちも聞かれるようになりました。
墓参りに行った日は、施設の畑で育てていたお花を持って、晴天の中外出する事が出来ました。
「今までと同じように墓参りできて、本当に良かった。ありがとう。」
と、涙ぐんで話されたA子さんの姿に、住み慣れた地域で、その人らしい生活を送ることの大切さを教えて頂きました。
今年の春に、お墓にお供えする花の苗をA子さんが自分で選んで購入しました。
施設の畑に植え、日々の成長を見届けています。
そして、お墓参りに出かけ、ご先祖様にお花を供える事を、自分の務めとし、変わらぬ思いで生活されています。
これまでされてきたように、そして昔を懐かしみながら、A子さんが培ってきた経験を日々感じて頂ける事ができるように、A子さんに寄り添って行きたいと考えています。