【ライフケア黒森】看取り介護ーご家族に寄り添いながら

近年、介護の現場では、「看取り介護」を希望される利用者様、ご家族様が増えています。
看取り介護とは、具体的には何をするのか?ここでは、ライフケア黒森の「看取り介護サービス」の取り組みをご紹介致します。

看取り介護とは

まず、看取り介護とは何かについて簡単に説明すると「医師によりターミナル(終末期)と診断された方へ、残された人生の質を向上させる介護(ケア)を行うこと。」です。

ライフケア黒森における看取り介護の方針

当施設における看取り介護の方針は、
「長年過ごした場所で、親しい人々に見守られ、自然な死を迎えられること」
と考えています。

入所される前に、「どこで最期を迎えたいのか」事前のご希望を伺った上で、入所してからもご家族の意向を確認しながら介護サービスを行っております。また、施設への入居と同時に住所を移されることが多いため、ご利用者様にとってライフケア黒森が「第二、第三の我が家」となります。その我が家で、人生の最期の期間を穏やかに過ごしたいとお考えのご利用者様、ご家族様に安心してご利用頂けるよう、「看取り介護」の体制を整えております。

看取り介護の現状

以前は一般的に見ても、病院で胃ろうの処置をしたり、呼吸器をつけたりと、延命を希望されるご家族様が多かったのですが、近年は、ご本人の意向として「延命はせず、最期の時を穏やかに、安らかに迎えたい」という方が増加している傾向にあります。また、そのような考えを理解しているご家族様が、見送るための準備をし、それを支えていくことが当施設における「看取り介護」の現状です。

ライフケア黒森においても、経験を積んだケアマネージャーや看護師が「看取り介護」を担当しております。ご利用者様のケアは勿論のこと、看取り介護とは、ご家族様の気持ちに寄り添うためのものと考え、介護の経験を積み、研修を行った施設職員が対応しております。

看取り介護の基本知識

「看取り介護」についてご説明する前に、看取り介護の基本的な内容について説明致します。

ターミナル(終末期)とは

  • 症状の進行あるいは加齢による身体機能の低下をきたし、嘱託医により治療による回復の見込みがないと診断され最期の時を迎えるまでの期間をいう。
  • ターミナル(終末期)の関わりは、治療から身体的・精神的苦痛を軽減し、残された人生の質の向上を目指したケア(看取り介護)へと変化していく。

ターミナル(終末期)の指標

  • 寝たきりで体を動かすことが難しい状況になる
  • 体内のバランスが崩れてくる(出血を起こしやすくなる)
  • 免疫力が低下する(感染を起こしやすくなる)
  • 床ずれができやすい
  • 食事、水分の経口摂取が困難になる
  • 脱水傾向になる
  • 眠っている時間が長くなる
  • 体重変化がおきてくる(痩せてくる)

看取り介護の流れ

①看取り介護の開始時期

  • 身体的指標および全身状態から判断して回復の見込みがなく、かつ医療機関での治療の必要性が薄いと嘱託医により判断された場合、嘱託医より身元引受人様へ症状説明が行われます。
  • 看取り介護に関する計画を作成し、終末期を施設で過ごすことに同意を得て実施されます。

②嘱託医からの症状説明

  • 嘱託医が看取り介護の必要性があると判断した場合、看護職員がご利用者様の身元引受人様へ連絡をとり、面談日時を調整し、施設においてご家族様へ嘱託医より病状説明が行われます。
  • ご家族様の希望や不安な点について、嘱託医および、看護職員へ相談できます。

③ご家族様の意向確認

嘱託医より病状説明を受けたうえで、ご利用者様当施設で看取り介護を受けるか、ご家族様は選択することができます。この時、病院で看取りたいというご家族様もいらっしゃいます。

④病院受診を希望される場合

嘱託医の指示のもと、ご家族様に受診日時を相談のうえ、施設は受診に向けた支援を行います。

⑤看取り介護の実施の前に

  • ご家族様が施設における看取り介護を希望された場合、今後の施設生活についてい看取りケアカンファレンスが開催されます。
  • ご利用者様が安心して施設生活を送れるよう、ご家族様のご要望を伺い、施設でできること、できないことをお伝えし、職員が統一した看取りケアを行えるように支援します。

看取りケアカンファレンスの参加者

  • 身元引受人様(ご家族様)
  • 生活相談員
  • 介護支援専門員
  • 管理栄養士
  • 介護職員
  • 歯科衛生士
  • 看護職員

※身元引受人様(ご家族様)へ、「看取り介護についての同意書」の説明を行い同意及び、看取りに関する各種サービス計画書に同意を頂きます。

「看取り介護」の実施が決まると、静養室での介護がスタートします。静養室は、ご家族が泊まることも可能です。

死後の処置(エンゼルケア)

  • ご家族立ち合いの下、嘱託医により死亡確認が行われます。
  • 介護職員、看護職員により故人のお体を整容し、お着物(浴衣等)に着替えます。死化粧を施す際、ご希望によりご家族様より紅をひいていただくこともできます。

※葬儀屋へのご連絡は、ご家族様より対応していただきます。

施設における医療体制

  • 常勤医師の配置はなく、嘱託医(池田内科医院)と連携し24時間の連絡体制を確保しており、ご利用者の健康管理および体調不良時の対応を行っています。
  • 夜間は看護職員が不在であり、看護職員は緊急時に備え、24時間携帯待機によるオンコール体制をとっています。
  • 体調不良や病状に変化が生じた場合、看護職員が嘱託医と連絡をとり、対応を行っています。

施設における医療行為の実際

  • 嘱託医の指示により点滴を行います。
  • 嘱託医の指示により採血検査を行います。
  • 発熱時や痛みが強い場合、嘱託医の指示により痛み止めの内服薬や座薬を使用します。
  • たんがらみがある場合、管を使用し淡の吸引を行います。

※ポカリスエットのような水分補給のみで、生命維持の目的である高カロリー点滴は行えません。
※酸素吸入は行えません。

ご家族様と寄り添いながら

ここまで、ライフケア黒森における「看取り介護」の取り組みを紹介して参りました。

このように、文章にしてみるとなんだか淡々としているように感じてしまいますが、実際には、担当する職員にとっても、「看取り介護」には強く深い想いがあり、ご利用者様と過ごす時間や、ご家族との関わりのひとつひとつに、真剣に向き合っています。

看取り介護を選択するということ

認知症が進み、身体の自由がきかなくなっても、最期まで耳は聞こえているといいます。

いよいよ、旅立たれるという時には、ご家族やご親戚、ご友人が集まり、見送る皆様でご利用者様の思い出話をしてみたり、穏やかな時間を過ごされることが多くあり、立ち会う担当職員にも深い想いが巡ると言います。

ライフケア黒森では、ご利用者様の身体的、精神的なケアは勿論、何よりご家族にとっても「ここを選択してよかった」と感じて頂けるような、心のこもった温かいケアを目指しております。