母が認知症かも。診てもらうにはどうしたらいいか困ってしまって…とご家族からのご相談
ご本人の心情に寄り添いながら精神科医への診察につながったケース
サークル活動にも参加できることになり、家族以外の人と交流する機会が作れました。
ご利用者
80代 女性 (ご長女夫婦と同居)
1.相談
居宅介護支援事業所では、在宅介護に必要な相談や連絡・ケアプランの作成・関係者や関係機関との連絡調整を行い、サポートします。また、介護の相談窓口として介護相談を受け付けております。
さまざまな介護相談の中から今回は、お母様と共に生活されている長女様からの相談です。
お母様は2~3年前から、物の置き忘れや車の運転ミスが多くなり、運転免許も返納しました。返納後は外出の機会が減り、家族以外地域の方との交流もなくなりました。
そのころから物盗られ妄想も出現し、身近なご家族へ対して口撃することが多くなり、同居のご家族が心を痛める状態になりました。
ご家族は認知症からくる行動ではないかと思い、診察を受け早期に認知症の治療が必要であると思っていました。しかし、認知症の診察を受けるということになるとご本人は受け入れがたいと思われるため、できるだけ自然な形で受診するにはどうしたら良いかと相談がありました。
2.助言から受診へ
相談を受け、当事業所で検討した結果を、下記のようにアドバイスさせていただきました。
「ご本人のお気持ちを傷つけないようにするには、いきなり認知症の専門医への受診は難しいと思われるため、まずはかかりつけ医を受診されるのはいかがでしょうか?」
「そして、かかりつけ医へ、ご家族から事前に状況を連絡しておくとともに、診断方法にも配慮してほしい旨を伝え、診察を受けたらどうでしょうか」
その後、当事業所からのアドバイスを取り入れていただき、ご家族からかかりつけ医へ事前に連絡しておいたことにより、スムーズな受診に繋がりました。受診した結果については、軽度の認知症と診断されましたが、ご本人は自覚がないとのことで、治療に対してはお断りされました。
3.地域包括支援センターとの連携
ご本人の尊厳とご家族関係等に配慮しつつ、社会参加を促すことで認知症の進行を防いでいくのが良いのでは、と地域包括支援センターからご家族へご提案させていただきました。
その後ご家族とも相談し、地域の社会資源を活用しつつ、今後の支援を視野に、ご家族から地域包括支援センターへ情報提供してもらい、連携していくことにしました。
地域包括支援センターでは、酒田市の介護予防事業であるすこやかマスターズに参加することで生活機能の維持及び向上を図っていけるように、ご本人に内容を説明し参加を促しましたが、参加は難しい様子が伺われました。
※すこやかマスターズとは
65歳以上の方で、生活機能の低下を予防するためにデイサービス等を利用して週1回2時間のプログラムを提供し、要介護状態なることを防いでいく酒田市の事業です。
4.専門医へ繋ぐ支援
その後も日常生活において物盗られ妄想が頻繁にみられたため、認知症の専門医を受診し、適切な治療を受けることが必要であることをご家族にお伝えし、ご家族も同じ考えであると確認したものの、専門医への受診は難しい様子でした。
そこで、心療内科の往診医を紹介させていただいたところ、スムーズに訪問診療を受けることができ、適切な認知症治療を受けることができるようになりました。
ご家族からは、ご本人の気持ちを考慮した受診につながったことで「相談してみてよかった、ありがとうございました」と感謝の言葉をいただいております。
また、地域の社会資源の活用として、地域のサークル活動に参加してみるのはいかがでしょうか?と地域包括支援センターからご家族に提案させていただいたところ、お母様がサークル活動に興味を持ってくださるように、ご家族から積極的に働きかけていただき、ご本人も納得のもとサークル活動へ参加することができるようになりました。
支援の振り返り
(ケアマネジャーの役割として)
居宅介護支援事業所への相談内容は多様であるため、私たちケアマネジャーは、必要な介護保険サービスの利用や、ご本人の自立支援やご家族の介護負担軽減を図るだけではなく、ご本人やご家族の介護に関する悩みや相談ごとにも、しっかりと対応していく役割が求められています。
また、地域の社会資源についても積極的に活用できるように繋いでいくことで、認知症の進行を防止し、住み慣れた地域で暮らしていけるよう支援させていただいております。
ご家族や地域の方々、ご心配なことがありましたら、居宅介護支援事業所にご相談ください。