排泄の状態を改善し、より快適な生活を実現するために

当法人では、加齢や病気のために排泄機能が低下しているご利用者に対し、多職種協働で専門的な支援を行っています。

ご利用者の身体機能や排泄パターンを把握し、ご利用者が1人で行っていたときの状態に近付くことで、「できる」という体験や「心地よい」という感覚を持っていただくことを目的としています。

ご利用者が自分らしく生活するためには、何をお手伝いすれば良いか、もっと引き出せる力はないかなどを見出しながら一緒に可能性を追求できるようなお手伝いをしています。

ここで、排せつ支援における事例を一つご紹介します

K様は入所時、脳梗塞の後遺症で左上下肢に軽い麻痺があり、車椅子で移動されていました。トイレでのズボンの上げ下ろしにも介助が必要でした。

入所後、ご本人から「歩く練習がしたい。」と意向があり、機能訓練指導員と一緒に平行棒で歩く練習を開始し、体操や下肢筋力が維持できるような機能訓練に取り組みました。また普段から歩行器での歩行を開始し、徐々に歩く距離を伸ばしていきました。最終的には日常生活では車椅子を使用しないで歩行されるまで回復しました。

車椅子を使用していた時は、「何もできなくなった。」と悲観的な言葉もありましたが、歩いてトイレに行くようになってからは、「脳梗塞になったけど、歩けるし、皆さんとお話しもできて幸せです。」と笑顔が多く見られるようになりました。

車椅子でトイレに行っていた時は、ご自分でズボンの上げ下ろしをしようとせず、職員が介助するのを待っていましたが、歩いてトイレに行くようになってからは、ご自分でズボンの上げ下ろしをされることが多くなってきました。

職員が手伝おうとすると、「私、自分でできます。」と前向きに頑張る姿も見られるようになりました。今では、トイレ後にご自分で衣類を整えてから、ナースコールで職員を呼んでくださいます。

以前に比べると周りのご利用者との会話も増え、好きだった塗り絵や学習療法で取り組んでいる数字盤といった余暇活動にも積極的に取り組まれ充実した毎日を過ごされています。