【特別養護老人ホーム】笑顔も会話も育くむ畑づくり
2015年より、ご利用者様と職員の力で「畑づくり」の取り組みが始まりました。現在(2017年5月時点)は黒森地区にある3つのグループ(「特別養護老人ホーム」「グループホーム」「こもれびの郷」)で畑づくりを行っています。
今回は、特別養護老人ホームライフケア黒森ではじまった畑づくりについて、はじめたきっかけなども交えご紹介致します。
畑づくりはみんなで楽しみ、成長の喜びを分かち合える場
特別養護老人ホームライフケア黒森では、一昨年(2015年)より、中庭で作物を育てる取り組みを始めました。最初は、中庭の花壇の脇で細々と始めた取り組みでしたが、今では施設全体、さらには他のグループ施設をも巻き込み、大きな取り組みになっています。
畑づくりの様子
畑づくりの様子を、写真でご紹介します。皆さん、笑顔で活き活きと参加されています。
苗植え
ご利用者様は畑づくりの先生
それぞれの畑づくり
収穫の喜び、作る楽しさ!
秋の実りで芋煮会!
自分たちの手で苗を植え、育て、見守り、そして美味しく召し上がる。畑づくりを、みんなで楽しむことができました。
きっかけは、ご利用者様とご家族、職員の想いから
畑づくりの取り組みを始めたきっかけは、あるご利用者様の一言からでした。
「きび(とうもろこし)がたべたい」
施設に入ってから、ご利用者様のどこか元気がない様子を心配して、ご家族が市販の「とうもろこし」を買っていったそうです。
ところが、「なんだか、美味しくないな」と、食べたがっていたきびを食べても、ご利用者様の気分は晴れないまま。
そこで、職員たちが「自分たちできび(とうもろこし)を作ってみてはどうか」と提案。ここから最初の「小さな畑づくり」が始まりました。
有志で施設の中庭に小さな畑をつくり、とうもろこしの苗を植え、育ててみたのです。
しかし、畑づくりの経験も、とうもろこしを作るノウハウもない職員たちで作り収穫した「きび(とうもろこし)」は、実が小さく、ほとんど食べる部分がありませんでした。
「失敗か」と思われたとうもろこしづくり。それでも「きびが食べたい」と言っていたご利用者様に、これっぽちだけれども、と、畑で作った作ったきび(とうもろこし)を見て頂きました。
「小さくても、『だし』がでるから、味噌汁にして食べると美味しいんだよ」と教えてくれました。早速調理して召し上がって頂くと、
「美味しの~、買ってきたきびよりよっぽど美味しの~」
と、感動し、それはそれは美味しそうにお召し上がりになりました。
このことをキッカケに、「また植えよう!今度こそたっぷり味わえるきびをつくろう」と、次の年も畑づくりに挑戦。
さらに「せっかくだから、色んな作物を植えてみよう」と、畑にじゃがいもやさつまいもを植えることになりました。
これまで有志だけで行っていた畑づくりを、沢山の職員達が参加するまでに至りました。ご利用者様も巻き込んで、今は大きな取り組みとなっています。
取り組みを続ける大きな理由
一人のご利用者様の声がキッカケで始まった「畑づくり」・・・
2016年からは、施設全体で取り組み、ご利用者様にとっても、職員にとっても、生活の楽しみのひとつになりました。
そして、2017年からは、美化係を中心に益々力を入れて畑に取り組んでいくことになりました。
この畑づくりの取り組みは、ご利用者様が「作物」に触れることで、つくること、成長を見守ること、収穫を楽しみにすることを感じて頂ける良い機会になっていると感じます。
また、地域柄、元々農業を営んでいた方、家庭菜園を行っていた方が多く、作物の植え方や育て方を教えてくださる先生が沢山いらっしゃいます。
自分の持っている知識、力を活かせる場があることで、「誰かの役に立ちたい」という想いが満たされ、生きる活力に繋がるのではないでしょうか。
車いすから立ち上がり、一緒に作業を行うご利用者様もいらっしゃいます。普段散歩に行きたがらないご利用者様も、「畑を見に行こう!」というと喜んで散歩をされるようになりました。
このように、職員も驚くほど、畑づくりによって沢山の笑顔が生まれています。
取り組みも小さな芽から育てて
はじめは小さな規模から、ひっそりとはじめた取り組みでした。しかし、ご利用者様の笑顔に触れ、あきらめずに次の年も取り組みを続け、やがて施設全体で取り組むようになった、畑づくり。
この過程は、ご利用者様が快適に過ごせる施設・環境づくりへの、ひとつの指針になりました。正覚会では、これからもご利用者様の皆様が、イキイキと携われる取り組みを、益々増やして行けたらと考えています。