千羽鶴に願いを込めて ~ ショートステイの活動紹介 ~

ショートステイでは、ご家庭で生活する高齢者が、短い期間施設に泊まりながら、食事・入浴・排泄など日常生活における介護やお手伝いをさせていただいております。
日中の過ごし方として、余暇時間の充実を図るために、ご利用者の趣味や特技を活かしたり、身体機能の維持・向上を目的とした軽体操をしたりと、個人の要望や状態に応じた生活リハビリを提供しています。

ショートステイでの活動を一つご紹介します

ショートステイでは、日頃より趣味で折り鶴を折られている方(以下、Aさん)がいらっしゃいます。その手先の器用さから他のご利用者からも一目置かれており、直径1~2㎝の小さな鶴を難なく折ってしまうほどの折り紙名人です。

広島や長崎の被爆地に折り鶴を

そんな特技を何かに活かすものがないか探っていたところ、ちょうど酒田市の広報で広島や長崎の被爆地に折り鶴を贈るという「届けよう!千羽鶴に平和の願いを込めて」の取り組みが記載されており、参加者を募集していました。

Aさんへも企画の説明を行ったところ、当初は驚かれ、「千羽鶴は作ったことがないんだよなぁ」「本当に千羽も折れるかなぁ」と話されていましたが、「分かった。よし、やってみっか!」と、一緒に企画に参加してくださることになりました。

最初は一人で折られていましたが、その様子を見ていた他のご利用者から、「何折ったな?」「どうやって折んなだ?」と声をかけられるようになりました。

ご利用者の皆さんが折り鶴を折れるというわけではなく、中には「昔は忙しさや貧しさから、折り紙をする時間がなかった」という方も。そんな苦労をしてきた時代を経て、現在興味を持った千羽鶴作りに、「目見えづらいけど、自分も折ってみる!」と参加される方もチラホラ出てきました。

Aさんは他のご利用者へ、「ここは三角にして、少し隙間開けて」「鶴も人と同じでみんな顔が違うから、細かいことは気にしなくて大丈夫」と、一つ一つ丁寧に教えられていました。

しばらくすると、Aさんから折り方を教わった方が、他のご利用者へ教えるという場面が見られるようになり、鶴を通して少しずつ人の輪が広がっていきました。いつしか、食事の後に顔なじみとなったご利用者が集い、みんなで談笑やお茶を飲みながら鶴を折る光景は、折り鶴サークルのようです。

日に日に増えていく色とりどりの鶴を前に、ご利用者の「まだ足りねがな?」「もっと折んねばだめだ」「手や頭を動かして、やる事あるといいの」と声を掛け合いながら取り組まれる様子を見て、職員も毎日元気をもらっていました。

定期的に利用されている方は、次に来た際も「まだ鶴折ってる?」「どんどん出来ったの!」と千羽鶴の進捗状況を楽しみにしてきてくれるようになりました。
そして、ようやく千羽の鶴が揃い、完成までラストスパート!

鶴に糸を通す作業もご利用者から行ってもらい、毎日一列ずつ増えていく光景を一緒に楽しみました。
あと何羽・・・あと何列・・・まだ出来ないか。もうすぐ出来るよ。
そんな会話を楽しむように、ようやく出来上がった千羽鶴は迫力満点!
高さも幅もあり、見た目も豪華!
「やったー!」「すごいの、立派だの」「これだば広島の人も喜んでくれるの」
Aさんを中心に最後は記念撮影。

千羽鶴作りを通して、人の輪が繋がりました

Aさんからは「どうなるかと思ったけど、やって良かった」「みんなで鶴を折れて楽しかった。ありがどの」と今回の趣味を活かした取り組みに喜んでいただけました。完成した千羽鶴をみんなで鑑賞し、時間をかけて作ってきた過程を思い返しながら、全員で達成感と喜びを分かち合った瞬間は、とても貴重な経験となりました。

酒田市役所へは皆さんを代表して職員が鶴を届けに行きました。
市役所の方からも「すごく綺麗ですね!ありがとうございます!」と感謝のお言葉をいただいています。

戦争を経験してきた世代のご利用者は、平和に対する思いも強く、人のために何かをしたいと思う気持ちも持っていらっしゃる中で、それを活かせる活動として今回はたくさんのことを学ばせていただきました。
千羽鶴作りが終わってからも、自然と互いに声を掛け合い、集うご利用者たちを見ていると、鶴を通して、人の輪が繋がったと感じています。

楽しく充実した時間が過ごせるように

ライフケア黒森ショートステイでは、
「ショートステイで過ごす時間が楽しい」
「また泊まりに来たい」
「ショートステイに来たら、元気になった」

皆さんからそう思っていただけるような事業所を目指しています。
ご利用者一人ひとりと向き合いながら、これからも自宅で元気に過ごせるように、そして、ご利用している間は楽しく充実した時間が過ごせるようにお手伝いしていきたいと思います。